【においの悩みに終止符を】梅の摂取で気になる体臭・便臭が改善されることが分かりました

この度、「梅摂取がヒト体臭・便臭に与える影響」の演題で、和歌山工業高等専門学校、沖縄工業高等専門学校、大阪河﨑リハビリテーション大学とともに、第30回日本未病学会学術総会にて発表しました。

【学会名】第30回日本未病学会学術総会
【会期】2023年12月16日・17日
【演題名】梅摂取がヒト体臭・便臭に与える影響



紀州ほそ川グループである㈱紀州ほそ川は和歌山県南部で100年続く老舗梅干屋として世界でもいち早く梅の有用成分に注目し、現在も研究・製品開発を続けています。昨今「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉が注目されることもあり、体臭による職場内等での影響が社会問題になりつつあります。和歌山県の特産品である梅を摂取すると体臭が和らいだ、改善されたという声を聞きますが、これまでに梅摂取による体臭改善効果についての研究はなされていませんでした。この度の研究で梅の摂取は体臭、便臭に対しての改善効果が期待できることが判明しました。

 

においの社会的背景

近年、スメルハラスメントという言葉があるように、においが社会問題になりつつあります。においは種類によって質が異なり、日々の食事により皮脂の量や質が変化することで生じるとされています。

・中高年者の脂臭くて青臭いといわれる加齢臭

・汗をかいたあと皮膚表面の微生物より分解されて生じる汗臭

・靴を履いてむれた足臭

梅を食することで体臭が改善するといわれていますが、科学的な研究はないため、和歌山県の特産品である梅の機能性食品素材への利用を目的とし、梅加工品摂取による体臭および便臭に与える影響について研究しました。

 

 

演題の抜粋

【試験方法】

梅の摂取
梅摂取は同意したボランティアを梅摂取A群、梅摂取B群の2群に分けて6週間実施しました。前半の3週間において、梅摂取A群は通常どおりの食生活で過ごし、梅摂取B群は弊社梅抽出物製品(以下梅抽出物製品とする)を1日2回(昼食・夕食時)摂取しました。後半の3週間は、梅摂取A群が梅抽出物製品を1日2回摂取し、梅摂取B群は梅抽出物製品の摂取をやめ、通常どおりの食生活で過ごしました。

 

 

 

【体臭分析】

体臭分析サンプルの採取は、試験スタート時は全員、梅抽出物製品摂取時は摂取開始時から1週間ごとに行い、梅抽出物製品未摂取時は、未摂取開始時とそれから3週間後に採取しました(計5回)。体臭の採取には揮発性物質吸着材(Monotrap:GLサイエンス社)を用いて、次の2通りの方法で行いました。

採取日に、うなじに吸着材を6時間貼り付ける(皮膚ガス分析)とともに、試験用に準備したTシャツを6時間着用後(Tシャツ体臭)、Tシャツを吸着材とともに捕集バックに入れ、体臭を吸着しました。吸着した体臭を吸着材から抽出し、GC-MSにより成分を分析しました。

■うなじおよびTシャツからの体臭成分の分析結果の一例
0、3、6週目のうなじおよびTシャツからの体臭成分をGC-MSで分析

■体臭試験結果

梅摂取により半数が体臭寄与成分(Octanalと2-Ethyl-1-hexanol )の減少が見られた

 

 

 

【便臭分析】

便サンプルは実験開始時とその後3週間ごとに便採取キットも用いて行いました(計3回)。便臭は採取した便を、スクリュー瓶に取り、蒸留水を1mL加えてのち、スクリュー瓶にMonotrapをセットし、60℃で3時間静置し、においを吸着しました。捕集剤に吸着したにおい成分を抽出し、GC-MSにより分析しました。

■便臭成分の分析結果(インドール量)の一例

■便臭試験結果

2/3の人に梅摂取によるインドールの減少が見られた

 

 

まとめ

体臭への影響について解析した結果、Tシャツ体臭において、数種の体臭成分が梅摂取により減少する傾向にあることがわかりました。うなじから採取した皮膚ガスについては現在詳細な分析を進めています。一方、便臭についても便臭の原因物質が梅摂取により減少し、梅摂取をやめると増加する傾向にありました。これらの結果により、梅の摂取は体臭・便臭に対して改善効果を示すことが期待できると考えられます。さらに、体臭・便臭の変化には腸内細菌叢の変化が関与しているといわれていることから、採取した便を用いて腸内細菌叢の変化について、更なる研究を進めていきます。